2009年3月15日日曜日

合唱曲。

本棚から発掘されたのは。

北多摩中学校音楽教育研究会[編]『ニューコーラスフレンズ』教育芸術社、1996年。

いわゆる中学校の合唱で使われる「歌集」である。

しかも20世紀の。

中学時代の自分の書き込みがあって顔から火が出そうになったりしたが、久々に合唱曲に触れた。

中学時代の私はピアノの方がずっと好きだったが、現在では歌も大好きである。

改めて弾きながら歌ってみると、中学時代には見つけられなかった新たな発見があったりする。

  1. 歌詞がこっ恥ずかしい
  2. 基本的に、中学校の合唱曲の歌詞はクサい。

    いい例は芙龍明子作詞「夢の世界を」と浦河堤作詞「風になりたい」か。

    歌詞だけ取り出して読むととてもじゃないがこっ恥ずかしくて読めない。

    中には岩沢千早作詞「遠い日の歌」のようないい曲もあるのだが。

    ところで、私は中学校で歌詞だけを取り出して読んだ記憶がない。

    本来なら気持ちをこめて歌うためにも、歌詞だけを取り出して読み合わせする必要があるように思う。

    この段階であまりにこっ恥ずかしい曲は、やはり歌うときもちょっと恥ずかしいように思う。

  3. 歌詞がいい曲と、音楽としていい曲は違う
  4. 例えば明石潤祐作曲「フェニックス」は音楽としてかっこいいが、歌詞はそれほど作りこまれていない。

    一方、富岡博志作詞作曲「明日へ」は音楽こそありきたりだが、歌詞はとてもよくできている名曲だ。

    新川和江の詩に飯沼信義が曲を付けた「名づけられた葉」はよくできているとは思うが、詩の良さを乗り越えられるほどの力は無いように思う。

    中には谷川俊太郎の詩に木下牧子が曲を付けた「春に」のように、大事な二行をカットして曲を付けるという原作レイプとしか思えない作品もある。

    こうなると、歌詞も音楽もいい曲がベストということになる。

    個人的には谷川俊太郎の詩に大熊崇子が曲を付けた「じゃあね」と、松前幸子作詞・川崎祥悦作曲の「山のいぶき」が大好きである。

  5. 曲の経緯についての情報があまりに少ない
  6. 岡田冨美子作詞・東海林修作曲「怪獣のバラード」は現在では合唱曲の定番だが、もともとはNHKの歌番組で流れていた曲だ。

    大木淳夫作詞・佐藤眞作曲「大地讃頌」はカンタータ「土の歌」の一部で、しかも長二度低い音程に書き直されている。

    荒木とよひさ作詞・三木たかし作曲「心の瞳」や、かぜ耕士作詞・中村八大作曲「涙をこえて」は坂本九の名曲だし、北山修作詞・加藤和彦作曲「あの素晴らしい愛をもう一度」は知っている人なら言わずと知れたフォーククルセイダーズの代表曲である。

    しかし、こういったことは中学校で習った覚えは全くない。

    どれも高校生になってから、知り合いに教えてもらったり自分で調べて知ったことだ。

    これでは原作を尊敬する気持ちや、当時の時代に興味を持つ機会が生まれなくなってしまうのではないかと思う。

別の視点から歌集を見るのも、また面白い。

1 件のコメント:

林 直音 さんのコメント...

訂正。「涙をこえて」はシング・アウトに始まり「ステージ101」で歌い継がれた曲だったようだ。お詫び申し上げます。