2009年3月22日日曜日

『図解 安岡正篤の行動学』

以前、経営者に影響を与えた言葉を集めた本を読んだとき、多くの経営者が挙げていた人物の一人が安岡正篤であった。

恥ずかしながら、私は彼のことを全く知らなかったので、ある程度わかりやすそうな本を探してきた。

安岡正篤(1898-1983)は陽明学の開祖である王陽明について研究した「王陽明研究」を大学卒業時に発表して、陽明学者として名を馳せた。

その後それを実践するために政治家や経営者の教化に努めた人物である。

昭和天皇の玉音放送の草案を推敲したとされ、また本人は黙して語らなかったが「平成」という元号も彼が考えたと言われている。

正直なところ図解は全く役に立たなかったので、本文だけを読んだ。

大学の通常の教科書くらいの難しさなので、少々苦労はしながらも読めないことはないだろう。

全140ページで6章からなり、私の読了時間は2時間。

第1章、第2章、第5章、第6章は比較的面白かったが、第3章と第4章はビジネス書にありがちな「心得の箇条書き」が大量に出てきて正直覚えきれないので諦めた。

要するに陽明学とは「知識を活用して行動に移す」ことを重要視するものであって、そのためには素直な感情を表しつつ静かな心を保ち、物事の原理や原因を知り、物事の変化の方向性を予測し、広い寛容な心を持ち、全体を見通して決断を下すことが必要である。

これでこの本の内容は実質的に十分だ。

ただしかなり端折ったので、興味を持った方には一度パラパラとめくってみることをお勧めする。

武田鏡村『図解 安岡正篤の行動学』東洋経済新報社、2004年。

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