母が「私の知る限り、復職について最も詳しく書いてある本」として紹介してくれた本がある。
著者の上野玲は、恐らくうつになったことがある方なら名前は必ず聴いたことがあるであろう人物だ。
10年もうつと付き合い続けているフリーライターであり、本名を公開して数々の著書を残している。
以前、同氏の『アカルイうつうつ生活』という著書も読んだことがあるが、それから著者にもかなり心境の変化があったようだ。
率直に言って、この本は自分のうつ状態を客観的に振り返ることができるような調子の良い日でない限り、うつの患者が読むべきではない。
特に、第5章「自助努力こそ必要だ―患者たちの甘えの構造」は、どん底にいる方には読むのがあまりに苦しいだろう。
一方で、社会復帰を本気で視野に入れている方か、もしくは自分はうつとは無縁だと考えている方には是非読んで頂きたい本だ。
新書なので1時間あれば読むことができる。
お時間の無い方は「プロローグ」と第4章「頑張れば頑張るほどうつになる―日本の風土病なのだろうか!?」だけでも目を通していただきたい。
また、うつではない方は第3章「企業と自衛隊のメンタルヘルス対策」が参考になるだろう。
できれば「届いたのは遺書だった」から始まる「エピローグ」をまず読むことをお勧めしたい。
「うつは心の風邪などではない。死にも至る、重篤な生活習慣病だと思う」
「その危機意識を、うつ患者のみならず、社会全体が受け止めなければならない時期にきている。患者が声高に言い続けていかなければ、誰も気づかない」
上野玲『日本人だからうつになる』中公新書ラクレ277、中央公論新社、2008年。
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